4 絵画空間技法

いよいよ本題に入りますが,デツサンについて少し述べておきます.
デツサンには,密度で追うデツサンと陰影から追う2種類に大別することができます.詳しくは他の文献を参考にして下さい.密度によるデツサンを理解していないと,次からの内容は理解されません.また前述の歴史から学ぶ技法への理解も必須です.

この技法は様々な技術を駆使できる油彩を目安にして話しを進めて行きます.もちろん,あらゆる絵画に通ずるものです.

1:あらゆる絵画に成立します.
2:伝統性も含まれています.
3:発展的です.
4:個性を尊重しています.

技法の内容は三段階に渡って行われる重ね塗り技法です.この技法を基本にして様々に応用することができます.

何故三段階か?

画面上で行う行為は造形的立場から見ると三種類に還元できます.一見無限的可能性がありそうな作家の行為も空間を形成する立場からは,三種類しかありません.

絵画を描くことは,一つの命を育むことに似ています.如何に育むか,いかに有機的に...このような立場から技法を分類すると,三段階に集約されるのです.

しだいに読むことにより理解されるでしょう


第一段階

モノトーン描法

第二段階

色彩描法

第三段階

具体化描法

さてこの段階は意図的なことを除き,つながりをもって進行してゆきます.
例を述べましょう.ここではモチーフは赤いりんごを主役として描きます

第一段階

モノトーン描法

主張色は赤なのでその補色の青緑の色と補助的に無彩色を用いて,描きます.技法としては,密度によるデツサンです.テレピン油等から入ります.

第二段階

色彩描法

面を色でデツサンして行きます.最初は大まかにそして段々と細かくしてゆきます.ここで使う色もすでに決まっています.ここでは黄色と紫です.これは色彩環において主張色赤から左右に90度の所の色です.

第三段階

具体化描法

この段階において,自分の感性を具体的に表現します.赤いりんごの赤を描きます.影をつけたり....自由にのびのびと描きます.


これが簡単な全体の流れです.一段階と二段階はネガテイブな方法であり,第三段階めでポジテイブな方法をとります.初心者の方に多いのがいきなりポジテイブに描いてしまうことです.次に各段階について詳しく述べましょう.