3 絵画とは

さてあなたにとって絵画とは?
人それぞれの立場がある以上それぞれの見解があって当然ですが,知性的な立場から眺めてゆきます.

前章で述べたように,ニユートラルスペースという二次元の材料(カンバス等)に絵の具などの素材,道具を用いて,三次元的な世界を,表すことがその本質的な行為です.もっと平たく言えば,平面に,絵の具を用いて線や,色面を構成し対象を表すこと,すなわち我々は,平面に様々な材料を用い,線やフオルム,色彩の統一された集合体を作る,そして,統一せしめるのは描く対象から導かれた作家の感性,構成によるものです.

絵画のもう一つの重要な要素(才能)

アイデア,インスピレーシヨン,品格,センス,技術,感受性,創造力,これらは,決してお金で買うことの出来ぬ貴重なものです.

ここに名画があったとしても見る目がなければみていることにはなりません.作家の立場からすればその本質を鋭くつかれてこそ共感され,理解されることが望みです.

前述のように決してお金では買うことはできませんが,その才能は育てることが可能なものがほとんどです.


人=人格+個性

分類

人格

個性

先天的

A

B

後天的

C

D
上記のように人間性を人格,個性;先天性,後天性という座標から可能性を探ります.

A-人格-先天的

人格形成には,経験をともなうことが前提です.しかしながら,その方向や質にかんして先天的部分が関与する

B-先天的-個性

個性は先天的なものが基礎となるが,成長とともに育むことが大切である

C-人格-後天性

人格は成長とともに育まれる

D-個性−後天的

個性は,その先天性をもって,育まれ,洗練することが大切である


上記指針を頼りに,自分の絵画を見て,どこに個性が表れ,どんな技術によって成り立っているか,等,検討して下さい!
また,この技術は,人格に相当するものです.常に高めることは人間としての義務です.
芸術家は人格,個性ともに,成長し磨いて行くことが自然な流れであります.人格の形成には人間に共通な知識や技術の修得が必然です.そしてこの修得が個性を知ることにもなるわけです.
また,個性を磨くことは人格形成の啓発を生み自己存在への静かな確信と自信が得られます.
成長してゆくことという源泉が創造の原点です.これは内的な時間です.
質の経過です.寿命70年などという言葉は外的時間に過ぎません.内的時間の経過をそんな言葉で計ることは出来ません.芸術はそんな軽々しいものではありません.真に生きた時間こそが内的時間なのです.