2 印象派

さて,次ぎなる時代は印象派です.いかがですか?キヤンバスにおかれた絵の具が,十分に光りをためこんでいるようです.以前の時代の絵画は室内で描いた雰囲気がありましたが,この時代にいたっては,作者が外の光りを浴びて描いている様子や,そこの空気までもがよく伝わってきます.
印象派において,物の色(固有色:黄色いレモンとか赤いりんごといったような物そのものの色)の概念を越えて,陰影が,光りが薄れたものではなく独立した色彩で表現されています.
 まさに造形の世界における色彩の開花であります.
つまり今まで固有色を中心とした光りと影の表現であったのに対し,仮象色(太陽や大気などによって変化する色)としてとらえられた表現に変化していったということです.
まさに,色彩にたいする意識の目覚めであります.芸術に対する見解は様々ですが,私にとってはこの変化が最も重要であると感じています.この変化していくプロセスにおいて,心の内側から生命の根元的な飛躍しようとするエネルギーと技術が附随して作品が生まれようとする宇宙誕生のような,そんな感じが伝わってくるのです.
 
さて芸術というこの生命体はグローバルに展開していきます.この印象派の時代色彩に目覚めましたが,何と言っても絵画の根本は存在感です.簡潔に言いますと色彩を優先すると存在感がうすれます.また存在感を立てようとすると色彩の表現がおさえられてしまいます.つぎの時代はこの問題が解決されていきます.

ロシア アートアカデミーにて
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